8月14日、記念すべき100回目開催となる、「コミックマーケット100(以下C100)」視察をしてきました。

 我々が視察した8月14日はC100の2日目で、ギャルゲー、TYPE-MOON、アイドルマスター、ゲーム(ソーシャルゲーム、RPG等)、男性向けなどのジャンルの同人誌サークルが出展していました。

 C100の目玉と目されていたのは人気伝奇活劇『Fate』シリーズ生みの親である武内崇氏・奈須きのこ氏による人気サークルの「竹箒」、累計300万部を超える人気漫画『3月のライオン』の作者で、『Fate/Grand Order』のキャラクター「オベロン」のキャラクターデザインを行った羽海野チカ先生、『Fate/EXTRA』など複数のFateシリーズ作品でキャラクターデザインを行ったワダアルコ先生の3サークルで、3サークルとも『Fate』関連の新刊を販売しました。

 3サークル参加発表後はSNSなどで大きな話題となり、イベント前に羽海野チカ先生が新刊をとらのあな・メロンブックスで受注生産受付をしたところ、両社のサーバーが落ちるなど、大きすぎる反響が見られました。
 今回の同人誌の動きについて、C100前に取材等で有識者にお話をうかがったところ、今までの同人誌とは一線を画す未曾有の動きがあったといいます。

◀竹箒に並ぶ参加者の列

 C100当日、特に注目されたのが【通販無し会場限定】として新刊を販売した竹箒です。報道によると竹箒の同人誌入手のために5,000円もの高額な早期入場チケットであるアーリーチケットで入場した一般参加者に先んじて、入場列に並ぶことなく入場できるサークルチケットでの入場者(同人誌販売者としての入場者)が入場開始前から長蛇の列を作っていたとのことです。
 もちろん、同人誌を販売するサークル参加者が竹箒を購入したくて列を作るということが大半ではあると考えられますが、記事では同人誌の頒布などを行わず、一般入場者よりも早く入場できるチケット目当てにサークル申込みを行うダミーサークルの可能性を指摘しています。
 このような今までにない一部同人誌でのニーズ拡大はアニメやマンガがライト層にも浸透したことを背景として、オタク層以外にもターゲット層が広がったためであると推測しています。
 
しかし、コミケは自由な発表の場としての同人誌即売会として発足し、同人誌文化発展のため「全ての参加者が相互協力して運営する」等の独特の作法・マナーを守ることを前提とした運営思想のもと運営されています。
 今後、同人誌文化に対する特別な意識を持たない一般層が有名サークルが発刊する同人誌に注目するという流れが定着した場合、資本主義の原則で動くライト層と同人誌文化を守るという理念で動く従来のコミケ運営がどのように折り合いをつけるのでしょうか。注目したいところだと思います。


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関連資料:

2022 クールジャパンマーケット/オタク市場の徹底研究 ~市場分析編~
https://www.yano.co.jp/market_reports/C64107600

2022 クールジャパンマーケット/オタク市場の徹底研究 ~消費者調査編~
https://www.yano.co.jp/market_reports/C64107500

関連リンク:

「コミックマーケット100」会場で見たダミーサークル・転売…深刻な課題が浮き彫りに
https://magmix.jp/post/106639